DEMO実証調査事例

無人ヘリコプターを活用した離島地域の持続への挑戦 ~しまのリアル魔女宅チャレンジ~

長崎県:新上五島町:中通島

概要

島の課題

  • 医療体制が十分でない離島においては、検体や輸血用血液等の緊急性を要する輸送体制の構築が、島民の安全安心の暮らしの確保のために重要
  • 島内物流については、ドライバー不足による物流体制の維持が難しくなる一方で、島内遠隔地では、日用品等の入手のため持続可能な体制構築が課題
    機動性が高く、緊急対応も可能な無人ヘリコプターによる島内外の物資輸送の実現により、医療及び物流の補完体制が必要

位置図

調査体制

取組概要

  • 無人ヘリコプターを活用した離島間及び離島本土間等の物流(検体などの医療物資や日用品)体制の構築を図る実証調査を実施。
  • 気象状況や貨物に応じた運行品質の確認や安全運行の評価、地域への貢献状況などを確認等を行う。

目指す姿・期待する効果

緊急時にも対応し、島内の医療体制を補完可能な物流体制の実現

現下の新型コロナウイルス感染拡大防止への対応としても、検査・医療体制の強化は急務の中、無人ヘリコプターによる医療品等の島内・島外での緊急的な物資輸送を実現することで、島民のより安全・安心した暮らしを確保。

島民の日常生活を支える持続可能な島内物流の構築

無人ヘリコプターの活用により、島内の配送業務効率化、欲しいときにモノが手に入るオンデマンド物流の実現により、島民生活を支え、豊かにする。さらに無人機事業展開による島民の新たな雇用創出にも寄与。

主な実証内容

実証内容

  • 以下のルートにて、それぞれ無人ヘリコプターを使用した輸送実験(目視外飛行)を実施。
  • 離陸時、着陸時は現地で操作、中間飛行は東京(JAL本社)から遠隔操作を実施。
  • 輸送実験のほか、島民ヒアリングにより、課題等を把握。

(輸送ルート)
○島内物流【検体、日用品】 :中通島(青方港)⇔ 若松島(診療所)
○離島間物流【検体、日用品】 :中通島(上五島病院)⇔ 小値賀島(診療所)
○本土間物流【輸血用血液、鮮魚】:中通島(有川港)⇔ 佐世保市

海に面したスポットを
離発着場として使用。積付・積卸等実施
離発着のみ現場にて
マニュアル操縦で対応
検体の梱包は
規定の梱包基準に順守
中間飛行は、東京から遠隔操縦。
航行船舶、風況等を常時確認しながら、操作
(基本はプログラム飛行)
鮮魚は飲食店にて当日中に提供

活用する技術の特徴

無人ヘリコプター(ヤマハ製「FAZER R G2」)

飛距離、貨物積載量、風への耐性を踏まえ採用

航続距離90km、航続時間100分
積載重量35kg、最高速度72km/時

主な検証項目

  • 気象状況及び貨物の種類等に応じた就航率を整理し、それぞれ事業として成立するポイントを検証
  • 無人航空機の安全運行に資するチェックポイントの検証
  • 離島地域の課題解決への評価及び事業化実現に向けた解決策の提示

主な実証結果

  • 離発着部分以外は、東京からの遠隔操作による輸送を実施。
  • 物資に依らず適切な輸送品質を確保して運行実施。便数33/42(就航率79%)。
  • 無人ヘリと航空便の連携により朝どれ鮮魚を当日のうちに都内飲食店へ提供実現。
  • 離島間による検体輸送(午後検体採取、夕方までには本島検査室へ)の可能性を確認、温度管理した輸血用血液の輸送(本土離島間)も可能であることが確認 。

調査で見えた課題

  • 詳細なオペレーションの確立(風速や風向きを考慮した運行時間の設定、荷物の計量方法、保管方法、現地の天候把握方法、授受確認方法など)。
  • 採算の確保(通信費の低減、多用途使用など運用方法の深掘り)