低コスト自動運転・オンデマンド予約を活用した島内交通・物流確保の効果検証
広島県:大崎上島町:大崎上島
概要
島の課題
- ドライバー等の高齢化・人材不足や利用者減少による売上減少が深刻化し、公共交通自体が維持できなくなることを懸念
- 商店が減少する中で、日常の買物が不便という声も多く、今後は少子高齢化に伴い、買物難民が発生することが懸念
⇒ 次世代の持続可能な島内交通・物流手段の確立が必要
位置図
調査体制
取組概要
- 低コスト自動運転モビリティ(低速電動車両(LSEV))とオンデマンド予約システムを活用した島内の新たな交通手段としての可能性を実証する。実証エリアは複数の港をつなぐルートを選定。
- さらに、同じ車両とシステムを利用した宅配の実証も行い、物流手段としての可能性も実証する。
目指す姿・期待する効果
海上交通との接続・港間移動等島内交通の効率化による負担軽減
離島特有の海上交通への接続のための島内港間の移動にあたり、低コスト自動運転やオンデマンドシステムの導入により、海上交通と連動したアクセス性の向上や島内移動の利便性向上による利用者の負担を軽減
島内の交通・物流(宅配)対応範囲の拡大による暮らしや観光への利便性満足度の向上
持続可能な新たな交通・物流手段の確保・対応範囲の拡大により、特に島内高齢者を暮らしの質の向上や島内観光客の新たな“足”としての利便性・満足度の向上
主な実証内容
実証内容
- 垂水港~白水港区間のルートにてオンデマンド予約システムでの予約及び自動運転車両の運行を実施。
- 自動運転車両の運行に合わせて商品の予約及び配送を実施。
- 町民へのアンケートや試乗モニターへのアンケート及びヒアリング等を通じてニーズや課題を把握。
(運行ルート)
○白水港~垂水港(片道約2km)
活用する技術の特徴
PerceptIn 自動運転技術
LiDARと高精細3Dマップを使用せず、GPSアンテナ、ステレオカメラ、レーダーなどによって低コストな自動運転を実現。
富士通 オンデマンド予約システム
移動サービス提供者に必要な予約受付、運行管理などの業務を支援する機能をクラウドで提供。インターネット予約と電話予約が可能。
主な検証項目
- 自動運転車両やオンデマンド予約などの先進技術を活用する際の改善事項や留意事項などを整理。(例:道路条件による運行課題、利用者・運行者視点からの留意点など)
- 島内での先進技術を活用した移動・宅配手段確保を検討する際のニーズを検証。
- 今後、実装する際の採算性(例:収支の算出など)や進め方(例:展開手順)を整理。
主な実証結果
- 小型自動運転技術及びオンデマンド予約システムは、技術的な活用の妥当性を確認
- オンデマンド予約システムは、9割弱が使いやすさを評価
- 自動運転車両について9割以上がドライバー不在で利用可能と回答。一方、トラブル発生時の対応に懸念あり
- 低速のため主要道路での運行は、社会的受容性を高める必要
- 宅配実施には、店舗前での宅配品の積載や宅配利用者側の受取の仕組みが必要
- 予約方式の小型自動運転サービスの利用意向は、町民で約5割、モニターで約8割となり、一定の需要は確認
⇒利用したい頻度は週1回、月1~2回程度が中心
⇒利用したい料金は100~200円未満、200~300円未満、400~500円の順に多い - ○事業の採算性は、1台での運行では採算性確保は困難
主な今後の課題
- 採算確保のため、台数拡充、中型車両の組合せ、料金設定、宅配サービスとの連携などを改善することで収支をバランスできる可能性
- 認知度向上と適切なルート設定