DEMO実証調査事例

TRIMetバーチャル鳥羽離島病院実証調査プロジェクト

三重県:鳥羽市:神島、答志島、管島、坂手島

概要

島の課題

  • 離島地域における安定した医療サービスの提供は、島民が安心して暮らしていく上で必要不可欠。
  • 人口減少による厳しい診療所運営、全国的なへき地医療に携わる医師不足による診療所医師の持続的な確保が困難。
    ⇒離島地域での効率的な医師配置やICTを利用した診療等、最適な診療所運営手法の確立が必要

位置図

調査体制

取組概要

  • 鳥羽市離島4島にある神島、桃取、菅島、坂手診療所および本土の鳥羽市立診療所3施設の計7診療所に、クラウド型電子カルテと遠隔診療支援システムを導入し、7診療所にてオンライングループ診療が行える環境を整備し、その有効性等を評価・検証する。
  • 新型コロナウイルスの感染拡大に備え、遠隔診療による島民の感染症リスクを低減に繋げる。

目指す姿・期待する効果

ICTを活用して複数の離島が連携した、効率的な診療体制を構築

鳥羽市内4離島と本土側診療所の医療資源の効率的活用とコスト負担改善のため、グループ診療と多職種連携、オンライン診療を組み合わせた「バーチャル鳥羽離島病院構想」の実現を目指す。

島に医師が不在時でも対応可能な安心できる「離島」での生活を確保

オンライン診療により、島に医師が不在時にも繋がることができ、島民の不安軽減と医療の質の維持を可能とすることで、持続可能な安心できる「離島」での暮らしを確保する。
また、将来的には医療の他に薬剤師や介護等の分野でも導入を目指す。

主な実証内容

実証内容

  • クラウド型電子カルテと遠隔診療支援システムを導入し、オンライングループ診療を実施。
  • 看護師が常駐する診療所においては、看護師から医師へのオンライン診療(D to P with N)を依頼することにより、電子聴診器などを用い、診察を可能とする。オンライン診療でも対面診療と同等の医療の質を提供できることを検証。
  • 受診のため診療所に赴けない患者に対しては、リアルタイムバイタル・映像・音声モニタリング機能を用いることにより、遠隔モニタリング(D to P,N to P)を実施し、有効性を検証。
電子カルテ、医事会計、
遠隔診療支援システムの操作研修を実施
離島および本土の7診療所にて、
電子カルテ、遠隔診療支援システムの運用を開始。
遠隔支援診療システム運用にあたり、電子聴診器の雑音や感度、聴診器の当て方や通話の手法を検討

活用する技術の特徴

遠隔診療支援プラットフォーム(セコムVitalook)

生体データを常時リアルタイムに収集・蓄積し、医師や看護師が遠隔から確認可能。オートアラート、ビデオ通話、トレンドグラフ表示、連携機関との情報共有が可能。

クラウド型電子カルテ(セコムOWEL)

データはすべてセコムのデータセンターで安全に保管。医療事務システムと連携し、会計業務の簡略化も可能。

主な検証項目

  • 離島診療所におけるクラウド型電子カルテの利便性、有効性に関して評価
  • 離島診療所における遠隔診療支援システムの運用方法をまとめ、対面診療との差を評価
  • ICTを用いての診療に対する島民の負担や対面診療との差などを評価

主な実証結果

  • オンライン診療は対面と遜色ないことを確認
  • 移動が不要になるため、患者の身体的及び経済的負担の軽減に寄与
  • 在宅患者には、見守り用のカメラやバイタル計測機器により、常時患者の様子を確認でき、無医島での生活の不安を軽減
  • 移動時間削減、電子カルテによる省力化等により医師の負担軽減、患者ケアへの注力が可能に
  • 各島の診療所を繋ぐことで、同じ病院で働くスタッフのごとく一体感を醸成

調査で見えた課題

  • 停電時、通信異常があった場合のバックアップ対応
  • 高齢者の多い離島では遠隔診療にあたり、看護師が必要であり、D to P with Nのための常時看護師の確保が必須
  • 複数の離島を繋ぎ、全体 で島民を支える体制を医師以外にも介護、福祉等にも体制を拡大