スマートアイランド推進プラットフォーム設立記念シンポジウムを開催しました!
2024年8月8日(木)にスマートアイランド推進プラットフォーム設立記念シンポジウムが開催され、離島自治体や事業者の方を中心に250名を超える皆様にご参加いただきました。以下に開催概要をご紹介いたします。
なお、シンポジウムの事例紹介、ディスカッションの詳細のレポートにつきましては、後日、公開予定です。公開されましたら、会員様向けのメールマガジンもしくは特設サイトのNEWSでご案内いたします。
スマートアイランド推進プラットフォーム設立記念シンポジウム 開催概要
1.開催概要
日 時:令和6年8月8日(木)13:30~16:00
会 場:砂防会館 シェーンバッハ・サボー 木曽会議室
内 容:
(1)開会挨拶・関係者挨拶
国土交通副大臣 國場 幸之助
全国離島振興協議会副会長(広島県大崎上島町長) 谷川 正芳
(2)スマートアイランド概要説明(スマートアイランド推進プラットフォームについて)
国土交通省 国土政策局離島振興課長 駒田 義誌
(3)関係省庁からの情報提供(デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)について)
内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局/内閣府 地方創生推進事務局 参事官補佐 山内 康生
(4)スマートアイランドの取組事例の紹介(4事例)
(5)パネルディスカッション
(テーマ:スマートアイランド推進に向けたプラットフォームへの期待)
【登壇者】
○三重県鳥羽市(答志島、神島など)
・鳥羽市立神島診療所 所長(医師):小泉 圭吾
・鳥羽市健康福祉課健康係長(へき地診療担当):中村 孝之
・セコム医療システム株式会社 関西営業所:澤木 正典
○広島県大崎上島町(大崎上島)
・大崎上島町 町長:谷川 正芳
・大崎上島町 企画課 課長補佐:玉田 弘樹
・大崎上島町 企画課 企画調整係長:髙本 清一
・株式会社エイトノット 代表取締役:木村 裕人
・株式会社エイトノット ビジネスオペレーション リーダー:福田 光
・株式会社エイトノット
ビジネスオペレーション/共同創業者:堂谷 香菜子(オンライン参加)
○佐賀県唐津市(神集島など)
・佐賀県 地域交流部 さが創生推進課 主査:島内 雅弘(オンライン参加)
・唐津市役所 離島振興室 離島振興係長:堀田 隆児
・株式会社まちのわ マネジャー 兼 九州電力株式会社 情報通信本部 ICT事業推進グループ:尾崎 郁哉
○長崎県五島市(福江島など)
・そらいいな株式会社 配送統括責任者:土屋 浩伸
・五島市 総務企画部 未来創造課 主事:工藤 正則
○鯨本 あつこ(NPO法人離島経済新聞社 代表理事)
○コーディネーター:上田 嘉通(一般社団法人離島総合研究所 代表理事)
※敬称略
(6)閉会挨拶
国土交通省大臣官房審議官(国土政策担当) 藤田 昌邦
後援:総務省、内閣府、農林水産省、デジタル庁、(公財)日本離島センター、経済産業省、厚生労働省
参加者:会場参加 84名、オンライン参加 171名、合計 255名
2.シンポジウム内容
シンポジウム開催にあたり、國場 幸之助国土交通副大臣、谷川 正芳全国離島振興協議会副会長よりスマートアイランド推進プラットフォームへ期待を込めた開催の挨拶があり、その後、国土交通省国土政策局離島振興課よりスマートアイランドの概要、内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局より、デジタル田園都市国家構想交付金について説明を行った。
離島地域からのスマートアイランドの取組紹介では、三重県鳥羽市(答志島、神島など)、広島県大崎上島町(大崎上島)、佐賀県唐津市(神集島など)、長崎県五島市(福江島など)の4地域の実践者から発表を行った。
パネルディスカッションでは、事例紹介を行った4地域の実践者と、全国の離島に精通したNPO法人離島経済新聞社の鯨本代表理事に登壇いただき、離島総合研究所の上田嘉通代表理事のモデレーターのもと、「スマートアイランド推進に向けたプラットフォームへの期待」をテーマとして行われた。
(1)取組事例紹介
①限られた医療リソースを連携して複数の離島診療所を繋ぐ「TRIMet」の取組
(三重県鳥羽市(答志島、神島など))
4つの有人離島を有し、各離島の診療所がある鳥羽市だが、人口減に合わせて患者数も減少、診療所の経営を圧迫していたため、医療資源の効率的な体制構築が求められていた。そこで、医師と看護師が有機的に動きながら、4つの島の診療所が、まるで1つの病院であるかのように想定し、多職種で構成される医療介護チーム「TRIMet」を構築、クラウド型電子カルテ、オンライン診療、オンライン服薬指導、見守りロボットなどを導入し、患者情報の共有と、職種を超えた連携体制を構想している。
②自律航行船による移動の制約のない島暮らしの実現に向けた挑戦
(広島県大崎上島町(大崎上島))
大崎上島では、島民がフェリーの時間に合わせた生活を送らなければならない制約に対し、株式会社エイトノットの小型船舶向け自律航行プラットフォーム「AI CAPTAIN」を導入し、自律航行船を通した時間の制約のない暮らしの実現に向けた実証調査を行ってきた。物流の実証調査は既に行っており、大崎上島町の2次離島の生野島では、スーパーマーケットや商店がないため、そういった方向けに日用品を購入して輸送することに取り組んでいる。将来的には、一つの航路ではなく、エリアをカバーして、海上タクシーのような世界の実現を目指している。
③住民主体の地域自治としてドローンの社会実装を実現した「ドローン隊」の取組
( 佐賀県唐津市(神集島など))
唐津市は7つの有人離島を有しており、そのうちの神集島(人口約260人)で、九電ドローンサービス株式会社、佐賀県と連携して、ドローンを活用した島民主体による生活環境モデルの構築の実証調査を行ってきた。特徴は、島民自らの手でドローンを飛ばして運用することで、島の抱えるさまざまな課題に対して、島民自らが自分達の力で解決できるような体制を整えたこと。島民13名をドローンパイロットに育成し、地域自治として社会実装をしている事例である。
④ドローンの広域化、多用途化による2次離島を含めた輸送網の構築
(長崎県五島市(福江島など))
五島市は、大小152の島々からなる五島列島の南西部にあって、総面積は420k㎡、10の有人離島と53の無人島で構成(当日発表資料より)されている。他の離島と同様、生産年齢人口の減少、高齢化率の増加が深刻で、医療体制の脆弱化や様々な分野での人的リソース不足などの課題が表出している。そこで、五島市に拠点を置くそらいいな株式会社によるドローンによる物流を、1つの解決策として取り組んでいる。医薬品の配送は既に実装済みであり、現在は、有償による2次離島への日用品・食品の配送の実証に取り組んでいる。
(2)ディスカッション
前半では、スマートアイランドの取組の根幹となる官民連携の体制構築について、マッチングのポイント、信頼関係の構築の方法、取組を継続するために大切なことをテーマとしてディスカッションを行った。マッチングのきっかけはさまざまであるが、「島に関わりたい」という熱意、「一緒に何か世のため人のために喜んでもらえることをやりたい」というモチベーションが重要で、時間をかけて関係性を深めていくことが重要とのコメントがあった。
後半では、「離島×テクノロジーが描く島の未来」について伺った。技術によってこれまでにない世界が実現できる可能性があり、都会と比べて遜色ない暮らしの実現も可能になるとのコメントがあった。その際に、島にもともとあった島の資源や心豊かな暮らしを上手にコラボレーションさせていくことが大切という指摘もあった。
クロージングでは、技術を導入する際に、何を技術がやり、何を人がやるのか。限られた人的リソースをどこに集中投下していくのか、人的リソースの最適化のような議論も、技術の導入と合わせて一緒に考えていくことがスマートアイランドの本質という指摘があった。技術と向き合えば向き合うほど、むしろ人間の営み、今住んでいる島の暮らし、環境、文化が際立ってくる。スマートアイランドが、それらを両輪で考えていくような機会になっていくと良いというまとめで、ディスカッションを終了した。