DEMO実証調査事例

小豆島・豊島におけるSTEAMアイランド実装化プロジェクト

広域連携型:香川県小豆島町(小豆島)、香川県土庄町(小豆島、豊島)

概要

島の課題

  • 離島という特性上、都市圏に比べ、授業(学科)選択の幅が狭く、教育及び雇用の格差により、島内の若手(学生)の担い手形成が困難となっている。
    学生自らが島内で新たな事業を創造する力を醸成するため、
     地域の担い手を形成するSTEAM教育の実施及び導入普及・定着化が必要。

位置図

調査体制

取組概要

  • 下記3種類の授業を実施し、中学生の「生きる力※」「キャリア意識」「理数系・技術系分野への興味関心・学習意欲」に対する教育効果を測定

①通年授業:小豆島の中学校でドローンを題材とした授業
②合同授業:小豆島の有志の学生に対し、島の魅力発信や課題解決のプロジェクト
③多島間授業:小豆島と豊島の学生を連携した授業

    目指す姿・期待する効果

    • STEAM教育及びICT・AI技術等の活用による学生が自ら輝く持続可能な島へ
      魅力的な就業機会の少なさや教育選択の幅の狭さを原因とした若年層の人口流出を防ぐため、学生に対してDXリテラシーの醸成に寄与するSTEAM教育を実施する。STEAM教育を島に定着化させることで、他地域・他学校と差別化を図り、教育選択の多様化を図るとともに、学生が「生きる力」を身に付け、学生自らが事業を創造し、魅力的な職業を創出する未来を目指す。

    生きる力:文部科学省が新学習指導要領で定める生きる力の考え方をベースに、島の子ども達に身に付けて欲しい能力として、稼ぐ力とマインドに分け必要な力を生きる力として定めた。

    主な実証内容

    実証内容・検証項目

    • 以下の4項目を踏まえ、STEAM教育の教育効果や島への定着化への課題等を検証する。
      項目①:通年授業実施による学校へのSTEAM教育定着化の検証
      項目➁:合同授業実施による生徒の「生きる力」への影響の検証
      項目③:多島間授業実施による小豆島と豊島での授業交流の検証
      項目④:STEAM教育やテレプレゼンスシステム等、新技術の活用による教育効果の検証

    主な実証結果及び成果と課題

    項目①

    次年度も通年授業を望む生徒のニーズを確認

    • 来年度以降も授業を継続して実施を望む生徒が約84%
    • 学校で実施されたドローンの授業に満足している生徒は約72%

    キャリアや学習意欲への影響はほとんど確認されず

    • 授業前と授業後のアンケートの差異がほとんど見られなかった
    • 授業の時期や頻度、授業内容の改善が必要

    項目➁

    生きる力に影響を与える可能性の示唆

    • 生きる力アンケート結果では、授業の参加者は非参加者と比較してほぼ全ての項目で高い数値を示した

    学生のアイディアを実践する機会の創出の必要性

    • 今回の授業では事業案を考案し発表する内容に留めたため、今後、事業案の実践機会を創出し、考案~実践を踏まえた上で生きる力への影響を測定する必要あり

    項目③

    小豆島と豊島における初の授業連携に成功

    • 小豆島、豊島の生徒交流とディスカッションの実現
    • 次年度の本格的な実施に向けた土台作り
    • 多島間授業の本格的な実施に向けた注意点や課題を整理

      項目④

      テレプレゼンスシステムの活用により毎月対面に近い形で生徒へのフォローアップ授業を実現

      • コミュニケーションの質を担保し、時間・経済両面コストを下げた授業を実施
      • 離島における教育現場での実用性を確認

      教員の負荷削減のための様々なテクノロジーの検証の必要性

      • 授業と連携して生徒の進学意欲に繋げる専門家との共同授業制作運営システムへの深化が必要(指導案/オンライン支援/成果発表・評価の現実課題と改善方向性を確認)