伊島における南海トラフ巨大地震等に備えたスターリンクと島内チェックインシステムの効果的な活用方法の検証
小規模離島型:徳島県阿南市(伊島)
概要
島の課題
- 南海トラフ巨大地震発生時に想定される問題
・放送網や通信網が使用できなくなった際に島民が情報を収集できない。
・島民や観光客等の入島、出島状況が把握できない。
・観光等で入島している人が避難所や避難経路を瞬時に把握できない。 - デジタル技術の導入が不十分であり、住民や観光客の日常生活の利便性に影響
位置図
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調査体制
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取組概要
- スターリンクWi-Fiを通じた災害時の自治体等への情報伝送の検討
災害時に放送網や通信網が断絶した場合を想定し、低軌道周回衛星であるスターリンクを伝送路とした災害報道について避難所での受信環境を調査し、その有効性・優位性を検討 - ICカードを活用した島内チェックインシステムの有用性および活用法の検討
ICカードチェックイン装置、リアルタイムによる島内の住民や観光客等の動向把握や、ICカードによるキャッシュレス決済の活用方法等、平時の利用可能性について検討
目指す姿・期待する効果
平時
- ICカードによるキャッシュレス決済や、アプリによる観光情報の発信(伊島ささゆりや民宿・食べ物情報)を行うことで、島のにぎわいづくりや経済活性化に貢献する。
災害発生時
- スターリンクWi-Fiを通じた災害時の初動72時間以内の情報伝送を自治体等へ円滑に行うことができるようになる。
- ICカードチェックイン装置、アプリを導入することで、何名島内にいるのかを把握できるようになる。また、アプリにより位置情報の把握による安否確認が可能となるとともに、観光客等に対しては避難経路を表示することが可能となる。



主な実証内容
実証内容・検証項目
実証実験を通じて、システムの有効性を評価し、以下の点を検証した。
- スターリンクの有効性
- 独立電源による安定的な通信環境の確保
- 島内チェックインシステムの有用性検証
- 島内チェックインシステムの平時利用の可能性検討

カードリーダー、ICカード

(Android)用
アプリ SHIMART
主な実証結果
- 島でのスターリンクの有効性
電波が使えない状況でのスターリンクを使用したインターネット情報の取得と安定性が確認されたほか、複数端末の同時接続も問題無く行えた。 - 独立電源による安定的な通信環境の確保
独立電源のみ使用した状況でスターリンクWi-Fiを3日間連続稼働し通信速度は下り速度150Mbps、上り速度25Mbpsであり標準的な速度で問題なくインターネット受信できた。 - 島内チェックインシステムの有用性検証
島内や避難所に何人いるか、リアルタイムで把握できることを確認。また、スマートフォンの位置情報を活用して島内のどこでもアプリで救助要請ができるシステムを確立し、有効性を検証。 - 島内チェックインシステムの平時利用の可能性検討
島民や観光客、行政職員などにヒアリングを行った結果、キャッシュレス決済による販路拡大やマイナンバーカードの利用による健康診断など幅広い分野での活用が期待されることが把握できた。
成果と課題
- 成果
・災害発生時、住民と観光客の入島・出島情報を伊島の担当者だけでなく島外自治体である阿南市役所にいる担当者からもリアルタイムでの確認が可能となった。
・スターリンクWi-Fiや独立電源の導入により災害発生時でも安定的に島内チェックインシステムを活用可能となった。 - 課題
・キャッシュレス化や島の特産品の開発・販売などの強化を行い、ランニングコスト(5万円/月)の安定的な回収を可能とする必要がある。
・マイナンバーカードとの連携など、実現可能な平時の利活用の展開