大分県佐伯市大島における遠隔医療・ドローン配送プロジェクト
大分県:大分県・佐伯市:大島
概要
島の課題
- 大島への唯一の交通手段である1日3便の」航路(所要時間40分、片道1,150円)は、島民の買い物、通院等のライフラインである。一方で、年間50回程度の欠航が発生し、緊急時等にも支障が生じている。
- 医師不在の島内には、週1回の巡回診療のみの体制で、欠航等が発生した場合には、その週の診療が受けられず、医薬品が不足する場合もある。
- 島内では高齢化も進む中、診療機会の充実を求める声がある一方で、人口減少により1日当たりの来院数が減少しており、維持コストが課題
位置図
調査体制
取組概要
- 離島間における遠隔通信機器を用いた遠隔診療の実証実験を実施。
- ドローンを活用した離島間医薬品配送による物流の実証実験を実施。
- 遠隔診療導入による医師の移動の分析を実施。
目指す姿・期待する効果
先端技術による離島地域全体での医療環境の整備及び医師の負担軽減を実現
離島地域の診療拠点を中心とした遠隔医療システムネットワークを構築し、医師の巡回による移動の負担を軽減していくと共に離島地域での診療の機会を増加させる事により、医師の労働環境と島民の診療機会の改善を図っていく。
主な実証内容
実証内容
離島-本土間における遠隔診療及び医薬品配送実証を実施。
輸送ルート:大島診療所(離島)~丹賀診療所(本土)
配送物:丹賀診療所で処方された医薬品
飛行距離:3.79[km]
活用する技術の特徴
メーカー | イームズロボティクス株式会社 |
飛行機体 | UAV-E6106FLMP |
最大積載重量 | 6.0[kg]※1 |
輸送箱サイズ | 幅194mm x 奥行 き275mm x 高さ 182mm |
通信方式 | LTE通信、2.4GHZ、5.7GHZ |
遠隔診療導入による医師の移動軌跡の分析
<離島へ移動する際と移動しない際の移動軌跡を分析>
医師に協力頂き、GPS情報を取得後、移動の軌跡を分析し遠隔診療導入による医師の移動の負担軽減の効果を実証する。
主な検証項目
- 遠隔診療における実施体制及び実施要領を確立していく為の課題の洗い出しを実施
- 医薬品配送における感染症リスクを排除できる運用モデルの検討
- 遠隔診療導入による医師の移動負担の効果検証を実施
実証結果
- 遠隔診療から医薬品の受け渡しまでを現地スタッフのみで完遂
– 専門の技術者を介することなく実証を成功し、今回設計したシナリオが十分実用性があることが明らかとなった - 汎用オンライン会議ツールは遠隔診療でも利用可能
– 参加した医師や患者から問題なくツールを利用可能との意見が出ており、安価でのツール導入が可能と確認できた
– 将来的には医師間のオンライン会議での活用等、利活用の幅の検討が可能 - 将来的な無人によるドローン配送の可能性把握
– 医薬品配送は、ドローンの実飛行は出来なかったが、東京から大分の現場を問題なく遠隔監視が可能であった
成果と課題
- 遠隔診療
(技術面) 患者側での画面の明るさ等患者側での対応が必要
(運営面) 医師・患者の双方の都合がマッチングする受付方法の構築が必要 - 医薬品配送
(技術面) ドローン実高度での遠隔制御検証が必要
(技術面・運営面) 適時に医薬品受け取り(本人確認)が可能な仕組みの構築が必要