南知多スマートアイランド実証調査
愛知県:南知多町:篠島、日間賀島
概要
島の課題
- 篠島、日間賀島の小中学校は、小規模化が進行しており、少人数の特性を活かして、きめ細かい指導に努めているが、グループ・ワーク、グループ・ディスカッションなど、互いに高め合う学習の中で、多様な考えや意見に触れる機会が得にくい。
⇒遠隔地の子ども同士がリアルタイムで意見交換できる授業システムが必要 - 両島には、夏季を中心にそれぞれ年間約20万人の観光客が訪れているが、バス、タクシー等の交通事業者の参入が困難であるため、観光客の移動はレンタサイクルか徒歩に限られ、島内を回遊する環境が十分ではない。
⇒島内の道路環境と住民・観光客ニーズに対応した新たな移動システムが必要
位置図
調査体制
取組概要
- 南知多町の日間賀小学校、篠島小学校、豊浜小学校の3校をLTE回線で接続し、リアルタイムでオンライン授業の実証調査を行う。
- 日間賀島の島内における新たな移動手段の可能性を探るため、タクシータイプ,周遊バスタイプの2つのタイプの車両を使って実証運行を行う。
目指す姿・期待する効果
若い担い手が定着し、観光客が滞在したくなる魅力の創出
篠島・日間賀島は、漁業と観光の島として地域の活力を維持してきたが、離島が有するハンディから人口減少が続いているとともに、観光客も減少傾向となっている。そのため、若い担い手が育ち、定着する環境づくりと観光客が滞在したくなる魅力の創出を図り、いつまでも活力が持続する離島をめざす。
【期待する効果】
多様な学習機会の提供と保護者の不安の解消
遠隔授業システムを活用することにより、多様な学習機会の提供を可能にし、子どもの教育に対する保護者の不安を軽減させ、離島への定住促進につなげる。
島の魅力の体験機会の創出と高齢者の移動の負担の軽減
グリーンスローモビリティにより、ゆっくり島の魅力を体験できる機会を創出し、観光客の増加と滞在時間の延長につなげるとともに、高齢者の移動の負担を軽減し、高齢者の外出意欲を高める。
主な実証内容
(1)遠隔授業の実証
実証内容
- 日間賀小学校、篠島小学校 「思考力」「プレゼン力」を育てる授業支援クラウド豊浜小学校で、修学旅行を基軸に旅行前のディスカッション、旅行先でのタブレット活用、旅行後の成果発表をオンライン授業として実施。
- 篠島中と神坂中(岐阜県中津川市)のオンライン交流授業を実施
主な検証項目
- オンラインによる他校との合同授業などにより、離島における学習環境の改善の可能性を検証
活用する技術の特徴
遠隔授業システム/アプリ(ロイロノート・スクール)
オンライン交流を可能とするとともに、「思考力」「プレゼン力」を育てる授業支援クラウド
実証結果
- 総合的な学習や理科、社会で調べた地域の人との遠隔授業、さらに遠隔での合同演奏や合同競技など、新たな教育の可能性を確認
- トラブルの対処も生徒自身が自主的に対応し、問題なし
- 他校の多くの児童から意見を聞くことや、教えあうことで、新しい発見ができるなど、生徒への良い刺激が生まれたこと等を生徒、教師ともに高く評価
(2)グリーンスローモビリティの実証
実証内容
【タクシー型運行】
- 港を拠点に希望する目的地まで運行
- 車両:YAMAHA製 AR-07
- 運行期間:11月16日(月)~23日(月)
【周遊バス運行】
- 外周道路を定時運行
- 車両:シンクトゥギャザー製 eCOM-8
- 運行期間:11月25日(水)~12月6日(日)
主な検証項目
新たな島内モビリティとしての導入効果及び可能性を検証
- 観光客の立ち寄り箇所の増加
- 港と宿との移動手段としての利用の可能性
- 高齢者にとっての快適性など利用者の満足度
活用する技術の特徴
グリーンスローモビリティ型車両
主な実証結果
- 特に高齢者や子ども連れにとって、移動手段が増えることで、立ち寄り箇所の増加及び滞在時間の増加
- GSMに「乗ること自体が楽しい」「ゆっくり景色を楽しめる」との評価が高く、観光満足度も向上
- 事業採算性は、両タイプともに事業収支はマイナスの見込み
- 人件費等の運行経費の削減方策と増便などによる運賃収入を増やす方策の検討が必要
⇒カート型運行をレンタカーとして利用:人件費の削減
⇒バス型の増便と定員の多い車両の導入:運賃収入増、受付経費の削減
主な今後の課題
- バス型運行の本格運行に向けた検証(料金設定や運行体制)
・ 乗車定員の多い車両で、有償(200円)、30分に1本の運行
・.冬季に運行して、その乗車率から年間の乗車人数を予測
・.夏季に運行して、運転手一人による運行上の問題点の抽出と対応策を検討