DEMO実証調査事例

上天草市・湯島のスマートアイランド化モデル事業

熊本県:上天草市:湯島

概要

島の課題

  • 狭い坂道や階段など徒歩が主な交通手段となっており、島内の物流手段が限定的である。
  • 島内の燃料供給では漁船が優先となるため、その他交通・物流の燃料は量に上限があり、高価である。
  • 島内消費エネルギーの約5.3倍もの再生可能エネルギーポテンシャルがあるものの、利活用が進んでいない。

位置図

調査体制

取組概要

  • 島内の急勾配、狭隘な道路環境におけるドローン等を用いた物流手段の最適化を図るとともに、災害時の緊急輸送手段としての活用の実証を行う。
  • 島内の再生可能エネルギーの活用に関する検証、及びそれに伴う物流手段の電動化の可能性等の検討を行う。

目指す姿・期待する効果

  • 人口減少と高齢化が進む離島において、限定的な物流手段、燃料費の高騰、レジリエンス対応不足等の地域課題を、地産地消エネルギーである再エネ資源を活用しつつ、ドローンやデジタル技術、eモビリティによる物流イノベーションを用いることで解決する持続可能なビジネスモデルの構築を目指す。
  • さらに、課題解決のみならず脱炭素化等を通じて離島のブランド化を推進し、付加価値を生出す仕組みの実証を目指す。

主な実証内容

実証内容

ドローン物流

大矢野島(九州側)からの荷物を、飛行型ドローンを用いて湯島まで運搬した。その後島内の急な坂道や細い路地を走行可能な車両型ドローンに積み替えて、各家庭まで運搬した。

【飛行型ドローン】

  • 輸送ルート :大矢野島(江樋戸港)⇒ 湯島(学校跡地)
  • 輸送品 :島内で入手しづらい食品(弁当、パン、洋生菓子 等)
  • 活用する技術 :ビルドフライヤー(技術協力:(株)石川エナジーリサーチ)

【車両型ドローン】

  • 輸送ルート :学校跡地 ⇒ 民家
  • 輸送品 :島外からの食品、ペットフード
  • 活用する技術 :AW-D4V2(UGV)(技術協力:(株)エアリアルワークス)

Eモビリティ(自主的な取り組みとして実施)

再生可能エネルギー導入後のビジネスモデル検討の一環として、利用者にとってのユーザビリティを確認して普及可能性の検討に資するため、島民のEモビリティ試乗を実施した。

  • 輸送ルート :湯島港 ⇒ 民家
  • 輸送品 :宅配便荷物
  • 活用する技術 :E-Vino(ヤマハ発動機(株)製)(技術協力:マッハロック九州(株))

主な検証項目

  • ドローンによる貨物輸送を行うために必要な許認可、技術的な課題、経済性等の検証
  • 地域のシーズ・ニーズに基づく持続可能なビジネスモデル・実行体制の検証
  • 地域資源である再生可能エネルギーの利活用、島内物流手段の電動化、レジリエンスの強化等に関する検討

実証結果

  • 民間衛星通信を活用した遠隔監視による空中ドローンの離島間飛行に成功
  • 島内では車両型ドローンに積み替え、細街路を通り各家庭までの運搬に成功

成果と課題

(技術面) 

  • 空中ドローンに運搬重量、運行距離の制限があり、適用条件が限られる

(運営面) 

  • 空中ドローン飛行にかかる経費が高額であり、事業性に課題(通信衛星の利用料、機体の購入)