テクノロジーを活用した持続可能な藻場再生モデルの構築とカーボンニュートラルの促進
長崎県:五島市:福江島
概要
島の課題
- 五島市の基幹産業である水産業は、ガンガゼや植食性魚類による海藻の食害が原因で磯焼けが発生し、漁獲量が減少している。
- ガンガゼ駆除の担い手不足により、省力・省人化が必要となっている。
- 植食性魚類の生息場所が把握できておらず、駆除対策ができていない。
位置図
調査体制
取組概要
- 磯焼け対策のための海の“見える化”
磯焼けの原因であるガンガゼや植食性魚類の生息分布を把握し、広域的かつ効率的な磯焼け対策の可能性を検証する。 - 藻場再生の効果の“見える化”
藻場の再生状況を把握し、CO2吸収量の算出根拠への活用の可能性を検証する。
目指す姿・期待する効果
【豊かな資源を活用してゼロカーボンに取り組むサステナブルな島の実現】
植食動物の生息分布を把握することより、磯焼け対策の推進につなげる。
また、海藻の繫茂状況を把握することにより、ブルーカーボン・クレジット制度の推進につなげ、持続可能な藻場再生 モデルの構築とカーボンニュートラルの促進を実現する。
主な実証内容
実証内容・検証項目
- 海底の映像を基に植食動物をAI等で判別し、地図上に生息分布をプロットする。
植食動物の分布を把握することで、磯焼け対策の広域化や効率化が可能か検証する。 - 海底の映像を基に海藻をAI等で判別し、海藻の繁茂状況を可視化する。
海藻の繁茂状況を把握することで、CO2吸収量の算出根拠への活用の可能性を検証する。 - ガンガゼの有効活用における自動搬送による輸送業務の効率化を図る。
ガンガゼの自動搬送の可能性を検証する。
主な実証結果
- ガンガゼの分布状況を25mメッシュ(1辺が25m)のヒートマップで可視化することに成功した。
- 海藻の分布状況を25mメッシュ(1辺が25m)のヒートマップで可視化することに成功し、検知した海藻の繁茂面積から海藻の種類ごとにCO2吸収量(推計値)を算出することができた。
- 自動運転の目印となる構造物が少ない屋外において、捕獲したガンガゼ等の自動搬送に成功した。
成果と課題
- 成果
・映像データと分布状況の可視化によって、潜水による磯焼けの感知や現状把握の工数が削減され、磯焼け対策の効率化が期待できる結果を得たことから、漁業者から本格的な実装の意向が示唆された。
・データに基づく磯焼け対策のモデルを構築することで、市内他地域だけでなく全国への横展開も可能である。
・離島地域において屋外の自動搬送が可能で、様々な用途で活用できる可能性がある。 - 課題
・AIの検知精度を向上させるために、継続的に教師データを蓄積することが必要となる。
・自動搬送ロボットの多用途での活用検討と、公道走行に係る機種選定や遠隔監視等の運用体制構築が必要。