漁港の未利用エリアを活用した波力発電による港内電力供給の実証調査プロジェクト
島根県:海士町:中ノ島
概要
島の課題
- 脆弱な電⼒系統→頻繁な停電、新しいサービスや技術の普及が難航、医療の体制・サービスの制約等。
- 発電コストが⾼い → 全体的な電気料⾦の値上げ要因。
- 電⼒⾃給率が低い(ほとんど化⽯燃料由来の電気) → ジオパークとして再エネ推進が重要な反⾯、環境を守りつつ太陽光や⾵⼒設置は困難。
位置図
調査体制
取組概要
- 小型「波力発電」の導入候補地選定調査
- 小型「波力発電」(適地に合わせた仕様に改良)による発電実証
- 採算性の検証
- 離島港湾施設への波力発電における電力供給、また「エネルギーの地産地消」によって実現する将来像および、実現性を調査・・・(A)
- 前述(A)に対するニーズ調査
- 環境調査
目指す姿・期待する効果
感染症等の感染拡大の防止や緊急時の医療体制、物流機能の確保等の感染症リスクの低減に資する取組としては、「感染症が発生した際の生活の維持」に欠かせない電力インフラの整備に貢献する。既存の電力インフラ以外にも、離島ならではの特徴を活かした波力発電インフラを整備することは、将来に渡り役立つだろう。そのためにも本実証調査を実施することには、大きな意義と価値があると言える。波力発電は、「電源選択の一つ」として役立つ。
「波力発電」は、小規模ながら分散型エネルギー源として機能する特徴から、島嶼地域など系統へのアクセスに不備がある地域(ひいては発展途上地域など)における電力供給に活用することができる。そして、「国内需給バランスの改善」や「エネルギー安全保障への貢献」が期待される。
更に「波力発電事業」を一つの産業と捉えると、「地域の活性化」にも繋がり、島嶼地域をはじめとする海岸に面した全国の地域における「地方産業の活性化」にも貢献する重要なインパクトを持っており、我が国の「エネルギー」及び、「産業促進イノベーション」における政策や長期ビジョンへの有効性を持つものである。
更に海岸に接した市町村、離島、癖地等の発電所建設の地元企業の雇用促進による経済効果も期待できる。そのため、「国境離島」対策 「離島振興」政策 にも寄与する。なお、今後、事業の拡大に応じて「自社の雇用を増やす」など、「地域の雇用拡大」に貢献していく。
主な実証内容
実証内容・検証項目
- 小型波力発電による発電実証
本実証用にカスタマイズした「往復型回転加速式波力発電」を使用することにより、実証場所となる海士港内の岸壁における波力発電の実証を実施。
設置は、次の3ステップとなる。
ステップ①:先ずは、「往復型回転加速式波力発電」を岸壁に設置するための「固定フレーム」を取り付けを行う。ユニック車で吊り上げて慎重に位置決めを行いアンカーボルトで取り付ける。
ステップ②:次に、今回の実証のために用意した「小型波力発電装置」の実証機を先程の「固定フレーム」の中に入れて設置する。こちらもユニック車により行う。
ステップ③:そして、「小型波力発電装置」と「固定フレーム」を専用ワイヤーで固定すると完成。 - 実用化に向けた「波力発電 → 蓄電 → 設備利用」の実証
発電された電力を港内の夜間街路灯の電力として使用する実証を行う。 - 波高調査を実施
波力発電実証時の波高も測定する。
主な実証結果
- 今回の発電実証において「波高:約10cm~20cm」において「最大発電出力:約700W」となる結果を得られた。
- 蓄電においては、港内に仮設置したLED街路灯を、一晩中稼働させられる程度の発電を行えた。
成果と課題
- このことから当初の想定と同様の「波高:約50cm」において「発電出力:1kW」を実現出来ることも分かった。
- 費用対効果の高い導入費の実現。
- 設置環境(海面の高さの変化、地面・岸壁の段差など)の正確な把握