DEMO実証調査事例

インフラ補修・点検や定住・関係人口創出等の島の課題解決に向けたメタバース・デジタルマップの効果的な活用方法の検証事業

香川県:高松市:男木島

概要

島の課題

  • 高齢化と過疎化の進行に起因した担い手不足(不在)や、災害時における島民の生活の基盤である道路や港等のインフラの管理も自治体職員が常駐していないので、島民自身で1次作業を行う必要がある。
    ⇒メタバースの活用や防災リテラシーの向上で、定住人口が100人を切らない仕組みづくり

位置図

調査体制

取組概要

  • メタバースを活⽤して、島外の住⺠に対する有⽤性(移動・時間コストの削減効果、男⽊島における定住・関係⼈⼝創出等)について検討する。
  • メタバース活⽤によるインフラ整備・点検に対する効果を検証する。
  • インフラデータをオープンデータ化した地理空間データ基盤とベクトルタイルマップの組み合わせが島⺠の防災リテラシー向上となりうるか検討する。

目指す姿・期待する効果

メタバースに期待する効果

メタバースがリアル(移住体験・訪問)の代替手段となりうるか(時間・移動コスト面の削減となりうるか)という視点において、メタバースを活用して効果的なインフラ整備・点検を行うに当たって、コスト(開発費用、維持管理費用等)、利用性等、様々な観点から課題を整理する。 

地理空間データ基盤を活用する効果

一部島民が把握している島内の情報を、島民全体と関係者へ共有し、防災リテラシーの向上に寄与させるため、地理空間データ基盤※1に紐づいたベクトルタイルマップ※2に基づく島独自のローカルハザードマップを作成する。また住民によるデータ追加、更新が可能なオープンデータである利点を活かし、家庭・地域コミュニティ・学校といった場で島内住民が通学・通勤時等における島の危険箇所などを記したローカルハザードマップを複数回更新することで地理空間データ基盤の地域住民利用の有効性を検証する。
※1:高松市が保有するインフラの台帳情報を基にした地図基盤で、組織の垣根を越えたデータ連携と、それによる効率的な新規サービスの創出を可能とするデータ連携基盤
※2:地理空間データ基盤を活用したアプリケーション。ベクトルタイルという、地図を画像ではなくデータで持つ形式の技術を採用することで、カスタマイズ性が高く、さまざまなサービスに応用可能。

主な実証内容

実証内容・検証項目

(ア)男木島の認知・交流の推進、定住・関係人口創出に向けたメタバース活用の有効性検証

 「一般層」と「移住関心層」を対象にメタバース利用前後における変化 (満足度や関心度等)をアンケートにより計測

(イ)メタバース等を活用したインフラ点検の効果的な活用方法の検証

男木港のメタバース(点群データ)とCADデータ(高松市保有)に収録されている近似(XY軸)を確認し、当該地点における高さ(Z軸)の差異(予め決めている基準点との差異)を計測することで、双方のデータ差分を抽出(インフラ老朽化等の候補箇所)

(ウ)地理空間データ基盤を活用した防災リテラシー向上

 島民と本土側の行政職員合同のデジタル地図を活用した防災ワークショップを開催、意識の変化などをアンケートにより計測

主な実証結果

(ア)男木島メタバース体験は移住候補地への訪問の代わりになるうると思いますか? 

(イ)老朽化可能性等の候補箇所を見出すことに成功

(ウ)防災ワークショップに参加して意識がかわった

成果と課題

  • 成果
    (ア)メタバースでの体験が地域を知るための代替手段になり得て、移動コスト(時間・移動費ともに)の削減にも効果がある
    (イ)差分計測により、当初設計データと現在との差分(老朽化可能性等)の候補箇所を見出すことに成功した
    (ウ)スマートマップ自体がオープンソースであることから、離島を持つ他自治体にも展開可能なソリューションとなっている
  • 課題
    (ア)目的に合わせたメタバースを活用した自治体の仕掛けづくりが重要である
    (イ)メタバースデータ構築・更新にかかるコストとの関係性や、自治体の持つインフラ情報の高度化に課題感を感じている
    (ウ)他地域への展開も視野に入れた費用負担の考え方や、より効果的な運用方法等について更なる検討が必要である