~ICT技術を活用した獅子島空き家対策プロジェクト事業~
鹿児島県:長島町:獅子島
概要
島の課題
獅子島島内の人口減少に伴い、危険家屋も含めた島内空き家の数が増加しているが、空き家の実態は把握が難しく「いつか戻るかもしれない」「先祖の仏壇があるため譲るに譲れない」といった事情から不動産物件として登録・公開に至っていない状況である。島外からのIUターンの問合せは増加しているため、島に残り産業を守っている若年層からは移住者を招き入れ活性化を望んでいる現状である。
位置図
調査体制
取組概要
- 360度カメラにて、空き家撮影、町の暮らし(生活・仕事コンテンツ)の撮影し、株式会社Synamon のサービスを利用し閲覧可能とさせ、移住に対する島のイメージを明確化させる。獅子島でのVR画像の撮影を合計5回/日、実施する。
- 都市圏・地方圏にて、移住相談会の設置し、そこで来場者にVRでの遠隔による不動産窓口を体験してもらう。現地の映像を360度画像の提供し、移住に対するイメージを明確化させて、情報発信に活用する。
- 鹿児島県内で大手不動産会社「株式会社川商ハウス」に、バーチャル不動産として相談窓口対応を担い、情報提供を行っていく。「webカメラによる相談」「VR技術を活用した現地内見」の2段階で遠隔相談を展開。
目指す姿・期待する効果
移住・定住希望者への支援強化⇒島への移住・定住の促進
- VR技術等の活用により、島の魅力を詳細に伝えつつ、きめ細やかな相談対応を行う体制を構築し、移住・定住検討者の不安・疑問を解消しつつ着実に移住・定住に繋げていく仕組みの構築を目指す。
- また、不動産会社と自治体が協働することで、離島の空き家を生かした移住支援を持続的にすすめる官民連携のモデル構築の一助とする。
主な実証内容
実証内容
空き家・島の生活を体験する360度画像の撮影
学校生活(獅子島小学校)・買い物(獅子島マート・池元商店)・仕事内容(アオサ養殖・柑橘栽培)・観光情報(黒崎展望所・化石パーク)など4つのコンテンツを作成した。(5回撮影実施)
体験会の実施
①アイランダー2022(池袋) 2022年11月19~20日
②阪急交通社(新橋ビル) 2022年12月21日
③阪急交通社(鹿児島支店) 2023年1月19日
④ららぽーと福岡auショップ 2023年1月28日
⑤獅子島ウォーク 2023年2月5日
合計5回、都内・福岡・鹿児島市・長島町で体験会を実施
空き家情報を紹介するwebサイト『長島暮らし』を公開
サイト上にてVR体験の予約を受け付けるフォームを設置。窓口での案内に誘導
検証項目
- 離島への移住・定住者増加を目的とした、空き家情報の管理・提供に関するICT技術の有用性と課題の抽出
- 離島地域における移住・定住支援を目的としたバーチャル相談窓口の運営にかかる課題の抽出
- 移住・定住者の地域定着支援の試行と課題の抽出
主な実証結果
- 若年層のほうが満足度が高いことが傾向として現れた
- 移住の関心を高めることよりも、島ぐらしを理解してもらうことのほうがより効果があった
- 移住希望が高い人のほうがより理解度を促進することができる傾向が明らかになった
成果と課題
空き家情報の管理・提供に関するICT技術の有用性と課題の抽出
- 体験した人は現地に行かなくても物件の情報を確認できるという、これまでにない便利さを実感できた
- 移住の関心をつくることではなく若年層の移住希望者の理解度をあげることに有効。
- イベント等でのブース出展で潜在的なニーズを生み出すことが有効
バーチャル相談窓口の運営にかかる課題の抽出
- 運営費用の負担(年間400万程度)を、単一地域では賄うことが難しい
- 他地域での展開の希望などが集まり広域での展開が望まれる
- WEBでの問い合わせを得るには、周知方法の改善が必要
移住・定住者の地域定着支援の試行と課題の抽出
- 島ぐらしの理解度を高めることに効果が高かった
- 移住以外にも、体験学習や観光などの用途の可能性が生まれた
- 獅子島来島者へのVR体験から、空き家の賃貸希望が1件あった
- VRでの紹介方法については、試行錯誤が必要で、コンテンツの ますますの拡充が必要