DEMO実証調査事例

第5世代移動通信システムの活用と水産資源回復の実証調査

長崎県:五島市:福江島

概要

島の課題

  • 水産業は五島市の基幹産業であるが、磯焼けにより漁獲量が減少している。
    ⇒磯焼け対策を推進していく必要がある。
  • 磯焼け対策の担い手が不足している。
    ⇒磯焼け対策の省力・省人化に取り組む必要がある。

位置図

調査体制

取組概要

キャリア5Gを使った水中ドローン遠隔操作によるガンガゼ駆除
5Gによる高速通信を使用し、水中ドローンを遠隔操作してガンガゼ駆除を行い、磯焼け対策の省力・省人化の可能性を検証する。また、ガンガゼの加工・商品化による新たな産業としての活用の可能性を検証する。

目指す姿・期待する効果

豊かな資源を活用してゼロカーボンに取り組むサステナブルな島の実現

磯焼け対策として人の手で実施しているガンガゼ駆除を水中ドローンを活用して実施することで担い手不足の解消に繋がり、磯焼け対策の取組が持続可能となる。
また、磯焼け対策を持続可能にすることにより、藻場を再生することに繋がり、五島市の基幹産業である漁業の振興を図ることが可能となる。

磯焼け状態
藻場の再生

主な実証内容

実証内容

  1. ①ROVの遠隔操作が可能な通信速度を持つエリアの調査
  2. ②ROVのカスタマイズ
  3. ③ROVの遠隔操作によるガンガゼ駆除
  4. ④ガンガゼの肥料化

主な実証結果

  1. ①ROVの遠隔操作が十分可能な電波強度と通信速度を確保できることを確認
  2. ②ROVを5G通信で試運転と、ガンガゼを捕獲するためのグリッパーの試作に成功
  3. ③平坦な地形においてガンガゼが捕獲可能であることを確認
  4. ④駆除したガンガゼの有効活用方法として、肥料化の可能性を確認

成果と課題

成果

  • キャリア通信を活用したROVの遠隔操作が有効であることを確認
  • ROVがガンガゼの駆除に限らず、ガンガゼの生育地域の探索や駆除後の観察、藻場のパトロールといった、藻場の“見える化”を実現する技術としても活用できる可能性を確認
  • AIによるガンガゼの自動識別技術と、水中の位置情報を使った自動航行を組み合わせることで、無人でROVを使ったガンガゼ駆除の可能性を確認

課題

キャリア通信を活用したROVによる磯焼け対策

  • ROVの運用・メンテナンスに関する人材の確保・育成
  • 磯焼け対策の自動化を実現するためのハードウェアの改造とソフトウェア開発
  • ROVの磯焼け対策以外の収益性のある活用方法の検討

ガンガゼの有効活用

  • 肥料製造に関する設備の導入、設置場所の検討
  • 地域資源の副資材としての活用と、安定的に調達の仕組みづくり
  • 少量でも収益性のある製品の開発