DEMO実証調査事例

災害に負けないスマート八丈島プロジェクト

東京都:八丈町:八丈島

概要

島の課題

  • 多雨(年間降水量3,200㎜)による土砂災害の危険性南海トラフ地震による想定津波高が18m超など、災害発生リスクが高い。
  • 高齢化が進行(率40.7%)。地域防災の担い手不足も問題。避難弱者や観光客・来訪者が災害に遭遇した際の情報伝達や避難誘導などの対応が不十分になる懸念。災害時は職員が対応に追われる。
    ⇒ 効率的かつ実効性の高い、防災IoTセンサ等のICT技術を導入し、島民だけでなく来訪者にも配慮した防災体制、職員の負担を軽減する防災体制の支援・整備が必要。

位置図

調査体制

取組概要

  • 災害の予兆検知から避難行動支援
    リスク箇所に雨量計傾斜計簡易カメラ定点カメラを設置、遠隔監視による防災力強化を評価
  • 避難所の新型コロナ感染症対策
    AI自動検温
    混雑状況監視により人の集まる施設の安全衛生対策を検討
  • 災害時以外での多目的利用
    情報発信と定点カメラ映像の多目的利用を検討

目指す姿・期待する効果

センシング技術を活用し発災を事前に感知、防災監視機能を強化

雨量や水位、振動や傾斜等におけるセンシング技術により、災害予兆検知をリアルタイムに実施し、防災監視機能の強化を目指す。クラウド技術やAI等も有効活用する。

ICT技術を活用し、防災体制の高度化・スマート化を図り業務負担軽減

効率的な情報の一元化、迅速な避難行動につながる情報連携・発信の仕組みを実装することで   町役場職員の業務負担軽減(遠隔からの状況把握等)と、地域防災の担い手不足に対応。

主な実証内容

実証内容

  • 島内の各地区で降雨データを取得し、地区毎に異なる災害リスクを把握
  • 土砂災害懸念個所に傾斜計を設置し、地山の動きや現地状況を検出
  • 簡易カメラ設置により津波高潮台風時の海からのリスクを常時把握
  • 避難所開設時の密回避等への対策リスク軽減を検証
  • 上記技術の多目的利用の有効性を検証

実証結果

  • 雨量計の各地区への設置により、異なる雨リスクを把握することが可能となり、有事の対応判断に有効なことを確認
  • 傾斜計が危険個所の動きの傾向をとらえ、有事の対応優先度等の判断に有効なことを確認
  • リアル画像の取得が判断に極めて有効なことを評価(現地に行く前にリスクが把握できた)
  • 施設管理者や職員の負担軽減寄与を評価
  • 災害用カメラでザトウクジラを検出。観光等への活用にも今後活用が期待できることが評価
図1 台風通過時の局所雨量が把握
図2 微細な地盤の変動や現地状況を画像で把握
図3 混雑状況の可視化と検温労力の削減
図4 防災カメラの多目的利用の例
(ザトウクジラ回遊を確認、今後AI自動検出に展開)
図5 安全な遠隔監視の実現

※防災対応機器/システムが工夫次第で安価に導入可能であることを確認(安価な観測体制の整備)

成果と課題

  • 安価な簡易センサー機器でもIoT技術の組み合わせを工夫(センサー+通信+監視Web)することで高いクオリティで防災の支援環境を整えられる。
  • 安価だがコストゼロではないため、技術を長期に採用・運用するためのコストを明確にし、価値を高める多用途利用など活用方策に取り組む。
  • 横展開に向け継続実証しパッケージ化を図る。