DEMO実証調査事例

電気自動車と自動運転パワースクーターを活用した島内移動システム構築

愛知県:西尾市:佐久島

概要

島の課題

  • 公共交通がない島内において、現状約50%の高齢化率であり、今後さらに移動困難者の増加が見込まれる。
  • エネルギー資源を外部に依存しており、災害時の供給不安やガソリン貯蔵タンクの維持更新コストの負担が大きい。
    高齢者が自力で安全に外出できる移動手段が必要。エネルギーの地産地消と安定した供給が可能な仕組みが必要。
  • 人口が200人弱と少なく利用者が限られる上に、集落内の道路は狭く、乗合型の移動サービスの導入は難しい。
  • 高齢者は、毎日多様な目的で外出しており、移動手段に関わりなく自立的な生活を送っている。
  • 原付バイクや車で移動している人は、免許更新時に運転ができなくなることに不安を感じている。

位置図

調査体制

取組概要

  • 高齢者によるパワースクーター試行運転により、自動運転や安全機能等を検証
  • ソーラーパネルで発電した電気でEV軽自動車を運行し、エネルギー自給自足に向けた基礎データを収集
  • パワースクーターで走行可能な道路条件や、島内の自動車のエネルギーを自給するために必要なソーラーパネルの量、設置可能な場所等を調査

目指す姿・期待する効果

高齢化や人口減少が進み、地形的条件による制約がある離島において、免許返納後も安心して移動できる手段を確保

高齢者の移動手段として、免許返納後でも利用ができ、かつ道幅の狭い島内道路を走行可能なパワースクーターによる、安心安全かつ自立的な移動モビリティの確保を目指す。

島内消費エネルギーの地産地消に向け、太陽光発電の可能性を検証

太陽光発電による電力で島内自動車のエネルギーを賄う脱ガソリン化と、家庭用電源への活用も視野に入れた、「ゼロカーボンモデル」の可能性を検証する。

主な実証内容

1.新たなパーソナルモビリティ(パワースクーター)の実証

実証内容

  • 自動運転機能と安全機能を備えたパワースクーターを使って、公道上の規定ルートを走行
  • 高齢者のモニターが日常生活をパワースクーターで移動

検証項目

  • 自動運転機能の動作の安定性
  • 障害物の検知・停止機能の有効性
  • 体験者による自動運転の評価
  • 行動変容(外出頻度、行動範囲)
  • 島内の移動上の課題(道幅、傾斜等による問題点)

主な実証結果

  • 島内でパワースクターの通行に支障にある場所は無い
  • マーカーの配置精度の改善で自動走行は実現したが、ふらつきが見られた
  • 衝突防止機能は機能したが、進入角度によって回避できない場合がある
  • 運転に慣れていない人は、自動運転に不安を感じる
  • パワースクーターを利用しても、原動付きバイク、自転車で移動する時と変わらずに、毎日複数回外出している
  • 集落から島内の主要目的地まで1~1.5㎞の範囲にあり、パワースクーターでの移動に適した生活圏である
  • 集落の狭い道路、坂道でも通行が可能であり、通行に支障がなく、島内を自由に移動でできる
  • 自動運転については、一部に安全性への不安を感じるとの声もあった
集落内の最大傾斜17度の坂道でも通行可能
搭載カメラでマーカーを検出して
ルート上の車両の位置を特定しながら自動走行

成果と課題

  • パワースクーターは、佐久島に適した高齢者のパーソナルモビリティである
  • 運転力が低下した高齢者の運転に対する不安に対応するため、衝突防止機能・自動運転機能の技術的課題の解決と心理的な抵抗感の解消が課題

2.EVモビリティを用いたゼロカーボンモデルの実証

実証内容

  • ソーラーパネルと蓄電地を設置し、EV軽自動車の運行に必要な電気を発電
  • ソラーパネルで発電した電気で充電して、 EV軽自動車1台を運行

検証項目

  • 島内の自動車をEV化した場合に必要な発電量とパネルの量・面積を推計

主な実証結果

  • 島内自動車1ケ月平均総走行距離:23,700㎞
  • 1ケ月当たり必要な電力:3,200kwh
ソーラーパネル発電施設
蓄電池
EV軽自動車

成果と課題

  • 島内の自動車のエネルギー供給に必要なソーラーパネルの面積は約200㎡。島内には設置に適した耕作放棄地が複数存在
    ⇒事業規模が小規模でも継続できる事業主体の検討が課題