DEMO実証調査事例

ICTを活用した介護業務の効率化プロジェクト

島根県:海士町:中ノ島

概要

島の課題

  • 夜勤を中心に介護人材が不足・高齢化。夜勤時の介護職員の主な負担として、転倒や急病・急変のリスクに1人で対応する不安から生じる心理的負担や、長時間労働による身体的負担が挙げられる。
    ⇒離島における介護供給を安定させるため、介護職員の働きやすい環境の整備、人材の確保が必要。

位置図

調査体制

取組概要

  • 特別養護老人ホーム(諏訪苑)でベッドセンサーと排泄予知機器を活用した新たな介護業務フロー・体制を作成・実施
  • 新たな業務フローによる業務負担削減量の測定、介護職員からのヒアリング、業務フローの再検証
  • 上記サイクルを繰り返し実施し、業務運用の定着を図る

目指す姿・期待する効果

センシング技術を活用し、介護対象者の転倒や急変リスクを感知し、介護職員の負担を軽減

複数のICT機器を活用し、大量のアラートから転倒リスクの高い覚醒状態を把握したり、バイタルに異常がないことを把握したりすることで、夜勤時の介護職員の心理的負担を軽減する。
介護対象者が排泄予知の無い覚醒状態の場合は、介護職員のサポートを取りやめる、また業務が集中しない時間帯は介護職員の見回り回数を減少させることで、夜勤時の介護職員の身体的負担を軽減する。

主な実証内容

実証内容

  • 下記項目を検証し、夜勤業務における介護職員の心理的負担、身体的負担を軽減することが出来るかどうか実証調査を行う
    ①覚醒状態のアラート発生時に排泄予知機器を使用して、排泄に伴う転倒リスクの高い行動であることを把握できるかを検証する
    ②ベッドセンサーを導入しリアルタイムで介護対象者のバイタルを確認できる状態を実現し、介護職員の心理的負担が軽減するのかを検証する
    ③介護対象者が排泄に伴う行動ではないと確認し、介護職員が排泄サポートを実施しない運用が成立するかを検証する
    ④見回りの負担軽減や介護職員の心理的負担の軽減に繋がるのかを検証する

実証結果

  • ベッドセンサーより介護対象者のバイタル状態やベッド上の状態を見える化することで、数人の職員でバイタルの急変に対する心理的負担の減少を確認(項目②)
  • ベッドセンサーと排泄予知機器を活用した業務の実施回数は限定的だが、ベッドセンサーの活用可能性を感じる職員も多いこと、一部の職員では転倒に対する心理的負担が減少していることを確認(項目①、③)
  • 巡回数が微減したものも歩数は大きな変化がない。導入直後の身体的負担の変化はまだ現時点では確認できていない(項目④)
介護職員の業務量分析
(夜勤時の負担が大きい)
ベッド上の状態の見える化

成果と課題

  • ベッドセンサー導入により夜勤での心理的負担の軽減可能性を確認
  • 施設及び職員共にベッドセンサーの継続利用意向が強く定着が一定程度図れており、継続的な運用により人材確保に向けた介護職員の負担軽減の可能性を確認
  • 身体的負担を軽減する段階に移行するため、ベッドセンサーのモニターを活用しつつも職員自身の目で介護対象者を見ていない不安の払拭が必要
  • 排泄予知機器の装着作業等の多さや介護対象者による取外しに対して活用への検討が必要
  • 血圧、体温等のバイタル計測種類を拡充